zenaの日記

麻雀と最近放置している不等式と、極希に更新しているスペクトル以外には、ここを見る価値は基本的にありません。また、管理者は気まぐれにしか更新しませんので悪しからず。

マグヌス効果

twitterで↓の動画が流れて来た.

Amazing Basketball Experiment! The Magnus Effect | How Ridiculous


で,ちょっと気になったんだけど



t=0で水平方向に投げた場合と,同じエネルギーの回転を与えて自由落下させた場合

どっちが遠くまで飛ぶのかな?



という素朴な疑問.気になったので,それっぽい式を立てて計算してみた.

一応,計算の仮定を書いておくと,一様密度のバスケットボール大の完全な球で,重さは500gのものを使用.
水平に投げる場合の初速は14m/s(意味は無い).
揚力Fはクッタ=ジュウコウスキーの法則から

 F=\pi^2r^3\rho VN,\\ \ \rho:\mbox{大気の密度},\ V:\mbox{ボールの速度},\\ N:\mbox{ボールの一秒あたりの回転数},\ r:\mbox{ボールの半径}

で与えられるとする.また,回転モーメントは良く分らなかったので,ストークス近似の際のモーメント

 M=-8\pi\mu r^3\omega,\\ \mu:\mbox{大気の粘性率},\ \omega:\mbox{ボールの角速度}

としておく(多分ここが一番怪しいが,フルのナビエストークスを解くわけにもいかないので妥協.抵抗係数も近似しちゃうしね・・・)

空気抵抗Gは

\displaystyle G=\frac{\pi}{2}C_d\rho V^2 r^2,\\ C_d:\mbox{抗力係数}

抵抗係数はレイノルズ数に依存するけど,良い近似式を知らないので取敢えず

\displaystyle C_d\simeq\biggl(0.55+\frac{0.48}{\sqrt{R}}\biggr)^2,\\ R:\mbox{レイノルズ数}

で与えられるとしておく.(ストークス近似使ったんだからC_d≒24/Rだろとかそういう事は気にしない.)

この条件で運動方程式を立てると,とても人間業では解けそうにないものが出てくるので,数値解を求めてみたのが↓,

f:id:zena-mathphys:20160127005748p:plain

左が水平方向に投げた場合のボールの軌道,右が回転を与えて落とした場合のボールの軌道.

仮定が正しければ,どうやら投げるより,回転の方が進むっぽい.

(直感的には回転モーメントが実際より小さそうな気がするが,回転モーメントを10倍にしても同じなので,実際でも同じ結論が得られそう.誰か実験して下さいw)